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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻8号

1984年08月発行

文献概要

Coffee Break

変な潰瘍性大腸炎

著者: 武藤徹一郎1

所属機関: 1東京大学第1外科

ページ範囲:P.923 - P.923

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 潰瘍性大腸炎はびまん性炎症が特徴ということになっている.直腸型潰瘍性大腸炎として治療していた患者さんがいた.2~3年前から再燃緩解を繰り返しており,組織学的にも潰瘍性大腸炎に間違いはない.最初はステロイド坐薬がよく効いた.しかし,次の再燃時には効果がなく,炎症が上行してきた.ところが,S状結腸の炎症は,びまん性でなく,斑状の発赤でaphthoid様なのである.タコイボ様に隆起して見える所もある.もしやアメーバ赤痢では…….組織学的には確証が得られなかったが,疑いが晴れないためステロイド使用をためらっている間に症状はどんどん悪化.サラゾピリンは全く無効である.患者からは,“治してくれる気があるのですか?”と問い詰められる始末.止むなく入院,IVHをし,やはり潰瘍性大腸炎と考えてステロイド60mgの静注療法を開始したが,1日数回の血便は一向によくならない.手術適応があるわけでもない.再々行った内視鏡検査でも炎症は残存しており,口側が斑状であることに変わりはない.何度検査しても組織学的にはアメーバは証明されない.ほかに手段もないので試しにとフラジール粉末250gの浣腸を行ったところ,下血は3日間で止まった!内視鏡的にも炎症は完全に消失,何とも不思議な潰瘍性大腸炎であった.血清反応は検索中であるが,全体の経過からみて,やはりこの例は潰瘍性大腸炎であると考えている.アメーバ赤痢を疑ったため治療が少々遅れて増悪を招いたと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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