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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻8号

1984年08月発行

文献概要

症例

腫瘍内Paneth細胞のみられた胃癌の4例

著者: 中上和彦12 松木啓1 弘野正司1 新本稔1 服部孝雄1

所属機関: 1広島大学原爆放射能医学研究所外科 2現 静岡県立総合病院

ページ範囲:P.925 - P.931

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要旨 腫瘍内にPaneth細胞の出現が認められた4例の胃癌症例について報告した.肉眼的には1例がBorrmann 2型進行癌で,他の3例はsm早期癌(Ⅲc+Ⅲ型,Ⅱa型,Ⅰ+Ⅱa型)であった.それらの占居部位はBorrmann 2型進行癌がcardiaに認められた以外は前庭部~胃角部にかけて認められた.病理組織学的には,管状腺癌を伴う膠様癌2例,異型上皮を合併する高分化型腺癌1例,高分化型腺癌のみが1例であった.Paneth細胞は比較的明瞭な管腔を有する癌腺管に出現し,かつその出現最深部は粘膜下組織に明らかに浸潤しているとみなされる癌腺管であった.更に〔症例1,2〕においては,所属リンパ節の転移巣内にもPaneth細胞の出現が認められた.腫瘍内に出現してみられたPaneth細胞の多くは,異型性の乏しい細胞であったが,その顆粒の大部分は正常小腸のPaneth細胞の穎粒に比し小さく,その染色態度は多様性を示した.〔症例1,4〕では,これらPaneth細胞に混じりPTAH染色,M-T染色で異染色性を示すimmature Paneth細胞が多数認められた.癌組織内のPaneth細胞は癌細胞の異分化の結果出現してきたと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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