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文献詳細

雑誌文献

胃と腸19巻9号

1984年09月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍の治癒判定 主題

胃潰瘍の治癒判定―X線と病理を対比して

著者: 五十嵐勤1 栗原陽一1 小原勝敏1 猪狩弘之1 和田敏正1 白土雅美1 鈴木秀1 岩崎勝利1

所属機関: 1福島県立医科大学第2内科

ページ範囲:P.959 - P.970

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要旨 胃潰瘍・瘢痕は円形,線状,帯状の3型に分けられる.円形が基本型で,その隣接再発の反復により線状,帯状が形成される.〔治癒判定〕X線所見上,潰瘍ニッシェがなくなり,瘢痕X線像が認められた時点で,潰瘍は治癒と判定する.それで臨床的に不都合はない.なにしろ,瘢痕そのものが再び潰瘍化するという再発はないからである.〔潰瘍の治癒過程と瘢痕の経過および再生粘膜のX線像〕胃潰瘍の治癒機転には,胃壁収縮と組織補塡とがあり,とりわけ胃壁収縮の役割は大きい.潰瘍面積の98%以上が収縮により縮小する.瘢痕の経過においても収縮がみられ,瘢痕区域はなおも小さくなる.再生粘膜のX線像とその経時的変化を呈示し,組織所見と対比検討した.〔胃潰瘍取り扱い基準設定の提案〕円形潰瘍と線状,帯状潰瘍とは病態が違う.前者は単純,後者は複雑である.例えば,いわゆる胃潰瘍症とは形態的には線状,帯状潰瘍を指す.病態に差があるものは区別しなければならない.胃潰瘍の病態検討に当たり,基礎的な形態的事項の取り扱い基準が必要と考える.特に線状例の取り扱いに注目したい.そういう基準の設定を提案した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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