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今月の主題 胃潰瘍の治癒判定
主題
文献概要
要旨 胃潰瘍の内視鏡的治癒判定は従来,白苔が消失した時期をもってなされてきた.その多くは赤色瘢痕がこれに相当する.われわれは多年ヒト胃潰瘍の切除胃について,内視鏡像,実体拡大像,走査・透過電顕像および組織像などの相関を求めて,胃潰瘍の治癒過程を観察してきた.実体拡大像では,初期(A1~A2),成長期(H1~H2),柵状瘢痕期(S1)および敷石状瘢痕期(S2,一部S1)に分類される.柵状瘢痕期は敷石状瘢痕期に比べると,再生上皮の性状は形態的機能的両面において未成熟の段階にあり,分化の途上にある幼若細胞が単に潰瘍面を覆いつくしたにすぎない.また,赤色瘢痕における再発頻度も高い.したがって潰瘍の治癒判定にはS1またはS2と明記すべきである.
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