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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻10号

1967年10月発行

文献概要

今月の主題 慢性胃炎1 綜説

慢性胃炎,とくに萎縮性変化の発生機転,主として免疫の立場から

著者: 三好秋馬1

所属機関: 1京都大学医学部脇坂内科

ページ範囲:P.1265 - P.1276

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Ⅰ.はじめに

 慢性胃炎は表層性の変化より萎縮性変化へと進行する過程を示すとは多くの認めるところであり,近時の内視鏡検査,胃生検の成績はこれらを明らかにしたといえよう.したがって慢性胃炎の本質は萎縮性胃炎であると考える.

 古くより成書に記載されているごとく,慢性胃炎の発生要因として種々なものがあげられ疫学的,また統計学的観察により,それらが発生因子として承認されている1)2)

 しかしながらその萎縮性変化の発現機序については多くの場合不明であるとはBockus2),Schindler3)の指摘する通りである.

 1939年,Brunschwig4)に始まり,その後Codeら5),Smithら6)により人胃液中に試獣に対して分泌抑制作用と同時に胃粘膜萎縮作用のあることが報じられた.われわれも,追試実験を行ない,ラット,犬に萎縮性変化を作成し,その発現には免疫学的機序のあることを推定し,先に発表した7)

 近時,免疫学的検索法の進歩とともに,自己免疫の概念が臨床に導入され,悪性貧血患者の血中に抗胃抗体が高率に証明されることから悪性貧血の胃萎縮の発現を自己免疫の概念で解説しようとする試みが相次いで現われ,悪性貧血を伴わない萎縮性胃炎も,本質的には悪性貧血の胃萎縮と同一胃変化であるとの見地から同様の考え方が導かれてきた.

 以下,わたしは萎縮性胃炎の発生を,免疫学的,とくに自己免疫の現在の概念にどこまで接近し説明し得るかとの意図のもとに,1)血中抗胃抗体の証明,2)胃抗原による萎縮犬の作成,3)自己抗体による細胞障害性検索の3点を中心として観察したので,それらの成績の概要をのべることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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