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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻10号

1967年10月発行

文献概要

今月の主題 慢性胃炎1 綜説

Reactive lymphoreticular hyperplasia of the stomachについて(臨床篇)

著者: 青山大三1

所属機関: 1大阪回生病院放射線科

ページ範囲:P.1283 - P.1291

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1.はじめに

 Reactive lymphoreticular hyperplasiaを略してRLHと書くことにする.

 過去十年来の日本の諸家の研究により早期胃癌の診断はすでに大半が確立されたが,今後残された課題としては10mm以下のⅡaとⅡcの診断とⅡbの診断とであろう.

 しかし早期胃癌に極めて似ている疾患に粘膜内肉腫のあることはすでに発表されている.この診断はレ線,内視鏡では鑑別不能であり細胞診,生検などによる細胞単位の診断にたよらなくてはならない.

 このような意味での癌か肉腫かの鑑別は重要であるが,悪性であることには相異はないが,全く別の意味で,レ線,内視鏡ではこれらの悪性変化と全く鑑別が不可能で,細胞診,生検が陰性であった場合,普通は極めて強い不安にかられるものである.このような疾患は多くあるが,その一つにここでのべるRLHがある.

 外国の文献を参考にして,自分の数少ない症例を基とし,日本の研究会での症例検討会で諸先生の努力の結晶と思われる症例を各所で見せていただいて,大変勉強になり,ここにその一端をのべようと思う.

 しかしRLHは次の各項でのべるように各種の型があり,一定のきまった型は見出しにくい.

 ここで明らかにいいうることはRLHは早期胃癌のⅠ型を除いた各型に極めて類似しているために早期胃癌として手術され,組織学的にビラン,潰瘍を伴ったRLHか,またGiant rugae様の所見を呈したRLHかであった症例が極めて多い.大多数の症例はビラン,潰瘍を伴っているために,術後の経過は良好であった.

 以上のべたように組織学的診断によって最終診断はなされるにもかかわらず,ビランまたは潰瘍との因果関係は明らかでないものが圧倒的に多い.

 将来はRLHは一つの疾患単位として臨床的に認められるようになってほしいが,症例数が少ないため,各人の手持症例のみではなかなかまとまった意向が示されてこないことが考えられるので,日本全国より大数例で検討,集計し,早く,型の分類,特徴などを諸大家によってまとめてほしいと思う.そのための一つの小さな踏石になりたいと思ってここにのべるわけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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