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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻3号

1967年03月発行

文献概要

今月の主題 胃液分泌の基礎と臨床 綜説

胃液分泌の生理

著者: 佐藤八郎1 柚木一雄1 東達郎1 下川原宏1 田上容正1 厚地良幸1 笹平直夫1

所属機関: 1鹿児島大学医学部内科

ページ範囲:P.349 - P.356

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はじめに

 胃疾患の鑑別にさいして,胃液検査は従来最も普通に用いられた検査法の一つであった.最近の胃疾患の診断法は,X線検査による微細病変撮影判読の技術向上と,胃内視鏡特に胃カメラ.ガストロファイバースコープの開発およびファイバースコープを利用した直視下生検,あるいは直視下細胞診などの技術が飛躍的に向上したので,胃機能よりみた胃疾患の診断,治療法としての胃液検査の価値は低く評価されている感がある.

 胃の機能は嚥下された食塊をひとまず貯蔵することに始まり,刺激により分泌される胃液と食塊を混和して胃液中の消化酵素により消化されやすい靡汁にし,それを胃特有の三層の筋層により腸管へ送り出すはたらきをもっている.また胃液酸度と蠕動とは密接な関係にあり,さらに胃酸は膵液や胆汁の分泌にきわめて大切な役割を演ずる.すなわち,胃液が十二指腸粘膜にふれると特殊なホルモン(Secretin)が粘膜に生じ,これが血行を介して膵腺や肝細胞にはたらいてその分泌を誘発するばかりでなく,同時に胆のうの収縮をうながすホルモン(Cholecystokinin)を誘発する.このように消化吸収の原動力ともいえる胃液分泌の生理についてはなお解明されない点も多いが,ここでは消化器疾患の臨床に必要な程度でのべてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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