文献詳細
文献概要
症例
骨髄転移をきたしたいわゆるⅡc+Ⅲ型早期胃癌
著者: 大柴三郎1 石岡国春1 上野恒太郎1 山岸悟郎1 望月福治1 北川正伸1 鮎沢甞次郎1 狩野敦1 久道茂1 八子英器1 吉田弘一2 須田雍夫2
所属機関: 1東北大学医学部山形内科 2東北大学医学部愼外科
ページ範囲:P.689 - P.694
文献購入ページに移動患者:51歳,男子,公務員
家族歴:両親が脳出血で死亡している.
既往歴:昭和33年胃潰瘍の診断を受けているほか特別のものはない.
現病歴:上記した胃潰瘍といわれた頃から,空腹時胃心窩部痛があり,内服薬の投与を受けていた.昭和40年12月に胃集団検診を受け,間接胃X線上,前庭部大彎側の彎入,胃角部の辺縁の不整と同部に向う粘膜集中像と思われる所見(第1図)から胃潰瘍の疑いとして引続き胃カメラ検査を受け,胃角部,後壁の潰瘍を認め,悪性化を否定できないとして,さらに胃ファイバースコープによりⅡc+Ⅲ型の早期癌と診断され,同時に行なった細胞診でも,癌細胞陽性と判定されて入院をすすめられた.当時,胸やけ,曖気,悪心,嘔吐,下痢などはなく,食欲も良好で便通も正常であった.
入院時現症:栄養良,脈拍整,緊張良で撓骨動脈壁硬化,眼瞼結膜には貧血および黄疸はない.頸部リンパ腺およびウイルヒョウ腺を触知しない.胸部および腹部は理学的に異常がみとめられない.下肢に浮腫なく,膝蓋腱反射は正常で,運動および知覚障害もみとめられない.
掲載誌情報