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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻7号

1967年07月発行

文献概要

今月の主題 胃切除後の問題 綜説

術後の消化性潰瘍(X線による診断)

著者: 中島哲二1

所属機関: 1虎の門病院放射線科

ページ範囲:P.891 - P.898

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Ⅰ.はじめに

 我々の術後消化性潰瘍に関する経験は多くない.否むしろはっきりいえば,非常に乏しいといってよい.しかしこれは我々だけの問題ではないらしい.外国の消化器,X線診断関係の著作1)2)3)4)5)8)文献等では,相当に多くの章があてられており,その内容も豊富である.しかるに,我が国のそれでは,術後潰瘍に関する記載は非常に少ない.とくにX線診断書では,この項を含まないものが多い.一項としてあげてあってもX線像之示しているものはさらに稀である.

 我が国では,欧米に比べて術後潰瘍が少ないらしいということは想像されるが,その客観的なデータはみられない.後述するが術後潰瘍は十二指腸潰瘍と非常に関係が深く,胃液分泌,過酸と強く相関があるからこの点で欧米に比べて少ないということは十分考えられる.しかし,少ないために関心が少なく,したがって,経験が乏しくなり,存在していても発見されないので,さらに少なく印象づけられるという悪循環はないであろうか.乏しい経験にも拘らず,我々が筆をとった理由はこれである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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