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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻7号

1967年07月発行

文献概要

技術解説

病理標本の作り方(2)

著者: 佐野量造1

所属機関: 1国立がんセンター研究所第一病理部

ページ範囲:P.969 - P.974

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1.切除胃の切り出しにおける注意

 切除胃を病理学的に検査するに当って,その病変が単に癌であるか,否かということだけを知る目的ならば特別の考慮を払う必要なく,適当に切り出すだけでことが足りよう.しかし,現在の精細な臨床診断によって知り得た早期癌の部位や,癌の拡り,潰瘍の位置およびそれ等と癌の関係を臨床家は要求し,病理医はこれに答えなければならないのが現状である.またそのようなうらづけがなければより新しい診断学の進歩はあり得ない.

 切り出しに当って最も大事なことは先ず病理医が胃疾患の肉眼像に習熟しなければならないことはいうまでもない.しかし,この”切り出し以前のこと”が残念ながらよく理解されていない.そのためにもっとも重要な病変部を見逃したり,また潰瘍癌の場合,粘膜ひだの集中部を切らずに周囲の粘膜のみを調べ,後に臨床家に潰瘍の所在の有無を闇われて返答に窮するような結果になることがある.早期胃癌の検索には,多数の切片の作製を要求され,時間的に到底その要求に応じきれないという病理医の苦情をよくきくが肉眼像に習熟すれば,病変の重要なポイントを把握して,その部分を切り出せばある程度臨床の要求を充足することができる.特殊な病理学研究を目的とする場合を除いて,切り出しの一定のルールを会得さえすれば早期胃癌の病理的検査は決して無理な仕事ではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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