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文献詳細

雑誌文献

胃と腸2巻8号

1967年08月発行

文献概要

今月の主題 難治性胃潰瘍 綜説

高度穿通性胃潰瘍の外科的療法

著者: 綾部正大1 前田宏仁1 岸本宏之1

所属機関: 1鳥取大学医学部綾部外科

ページ範囲:P.1043 - P.1049

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Ⅰ.はじめに

 最近の胃疾患に対するレ線,内視鏡診断などの進歩は目ざましいものがあり,以前には診断困難であった小さい潰瘍瘢痕なども比較的容易に発見される機会が多くなってきた.しかしながらこのように診断技術が向上している現在であっても,なお時に高度に穿通した胃潰瘍症例がみられ,その頻度が著明に減少したとは思われない.

 高度穿通性胃潰瘍における問題点は,第1に診断の問題,すなわち悪性化の有無の判定,第2は手術方法の問題であろう.第1の点は最近の胃癌診断の進歩によって術前または術中に大多数は確実な診断をつけ得る状態になってきている.第2の点については,v. Haberer(1915),Schmieden(1923)以来,姑息的胃切除か,穿通臓器を含めて潰瘍底を残さずに胃切除を行なうか,あるいは潰瘍底を穿通臓器に残して胃切除を行なうか,という点に議論があるようである.またこのような手術方法に対して,穿通潰瘍の悪性化が疑われる場合,または明らかに悪性化している場合にどの様に処理するかという事が問題になってくる.

 以上の諸点を考慮に入れて,われわれの経験について手術方法,遠隔成績,術中診断などに関して記し,2,3の点について考察を試みてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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