icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻1号

1985年01月発行

今月の主題 胃診断学20年の歩みと展望―早期胃癌を中心として

主題

早期胃癌における内視鏡診断の進歩

著者: 竹本忠良1 柳井秀雄1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.27 - P.33

文献概要

要旨 最近の約20年間の早期胃癌診断学の進歩を概観した.1962年の田坂らによる早期胃癌の定義・肉眼分類の発表は,それ以前の胃鏡,胃カメラ,胃X線検査などによる診断学の集大成であり,その後のファイバースコープ・二重造影時代への基盤をなすものとして,決定的な役割を果たしてきた.また,ファイバースコープ直視下胃生検法の確立は,早期胃癌の診断を,より確実・容易にし,生検法の普及を促進した.このような診断能の向上は,早期胃癌の発見数を増しただけでなく,早期胃癌の成長速度・成長様式(悪性サイクル,linitis plasticaなど)・発生母地などについての新しい知見をもたらした.近年では,一層の診断能の向上を目指して,色素内視鏡・拡大内視鏡・レーザー内視鏡・超音波内視鏡などが実用化されている.また,生検組織グループ分類の改正案を相い補うものとしても,新たな生検法strip biopsyが登揚したことの意義は大きい.結論としては,この20年あまりのわが国での早期胃癌診断の進歩は,十分な成果を収めたと言える.しかし,微小胃癌診断学の確立と発見率の向上,更には胃癌の予防までを目指して,今後より一層の努力が必要であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら