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Coffee Break
「胃と腸」と私
著者: 五ノ井哲朗1
所属機関: 1福島県立本宮病院
ページ範囲:P.34 - P.34
文献購入ページに移動 将来への抱負などではなく,過ぎたことの思い出を語れと言われるところに,いささかの感懐があるけれども,それはそれとして,「胃と腸」自体については,多くの人々によって語られるだろうから,私は個人的なことに即して思い出を述べることにしよう.
当時,不惑の年を目の前にして,生涯の方針も定まらず,田舎の大学の教室でウロウロしていた私にとって,早期胃癌研究会という集団にめぐり会ったことは,決定的な,そして望外の幸運であった.それは,大学も教室も,それぞれの専門ジャンルも,すべて既成の繩張り的なものを越えて,自立して自由な研究者の集団であった.今でこそ珍しいことではないが,戦前,原子物理学の世界に,このような研究集団があったという伝説を聞くばかりで,医学界としてはその存在自体が既に刺激的であって,恋人にでも会うように,教室の目を忍んで参加する研究者もいたのであった.新しいX線検査理論,目覚ましい内視鏡の進歩を背景として展開される自由で熱つぽい論議は参加者を魅了した.言い換えれば,私にとって,それはもう一度の青春であった.
当時,不惑の年を目の前にして,生涯の方針も定まらず,田舎の大学の教室でウロウロしていた私にとって,早期胃癌研究会という集団にめぐり会ったことは,決定的な,そして望外の幸運であった.それは,大学も教室も,それぞれの専門ジャンルも,すべて既成の繩張り的なものを越えて,自立して自由な研究者の集団であった.今でこそ珍しいことではないが,戦前,原子物理学の世界に,このような研究集団があったという伝説を聞くばかりで,医学界としてはその存在自体が既に刺激的であって,恋人にでも会うように,教室の目を忍んで参加する研究者もいたのであった.新しいX線検査理論,目覚ましい内視鏡の進歩を背景として展開される自由で熱つぽい論議は参加者を魅了した.言い換えれば,私にとって,それはもう一度の青春であった.
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