症例
多彩な内視鏡所見を呈し,metronidazoleとtinidazole耐薬性であったアメーバ性大腸炎の1例
著者:
牧山和也1
末長正弘1
江口政則1
李聡哲1
福田博英1
原口増穂1
森理比古1
田中義人1
中村憲章1
原耕平1
関根一郎2
森章夫3
藤田紘一郎3
今西建夫4
川元充4
所属機関:
1長崎大学医学部第2内科
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設病態生理学部門
3長崎大学医学部医動物学
4佐世保市立総合病院内科
ページ範囲:P.93 - P.98
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要旨 大腸内視鏡検査で多彩な異常所見を経時的に観察でき,metronidazoleとtinidazoleに効果を示さずdehydroemetineで軽快した蛋白漏出性胃腸症を伴ったアメーバ性大腸炎の1例を経験した.73歳の男性,主訴が水様粘液性下痢,両下肢の浮腫で1983年4月18日当科へ入院.約7か月前に内視鏡所見から潰瘍性大腸炎として治療がなされた.今回の内視鏡所見はS状結腸に限局性(約10cm)の地図状の異常発赤部とその中に白色調の粘膜が島状に残ったような奇異なものであった.便からE. histolyticaのcystを検出(生検組織:陰性).metronidazoleとtinidazoleで効果なくemetine 45mg/日(筋注,10日間)で軽快した.131I-RISAで証明された蛋白漏出性胃腸症も治った.