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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻10号

1985年10月発行

文献概要

今月の主題 大腸ポリペクトミー後の経過 主題

大腸ポリペクトミー後の経過観察―効果的なサベイランス・プログラムを求めて

著者: 安達実樹1 武藤徹一郎1 沢田俊夫1 大矢正俊1 州之内広紀1 斎藤幸夫1 阿川千一郎1 森田博義1 久保田芳郎1 杉原健一1 小西文雄1 上谷潤二郎2 吉田鉄郎3 森岡恭彦1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科 2東京都立豊島病院外科 3誠心会吉田外科病院

ページ範囲:P.1103 - P.1113

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要旨 大腸癌および腺腫治療後の患者のサベイランスを行い,腫瘍性病変の発現する頻度(新生率)とサベイランス間隔につき検討し,効果的なサベイランス・プログラムについて考察した.進行癌,早期癌,腺腫治療後の新生率には差が認められなかった.初回治療病変が多発であった群では単発であった群よりも有意に新生率が高かった.腫瘍性病変の発現までの期間は,進行癌,早期癌,腺腫群のいずれにおいても0~1年のことが多く,後は少なかった。腺腫群や早期癌群では癌の新生は極めて少なかったのに対し,進行癌群では癌の新生が9.7%もの例に見出された.なかでも,若年例や癌家族歴陽性例に癌新生のriskが高いと考えられた.進行癌群では,癌新生の最短期間は2年前後と考えられた.サベイランス・プログラムは,腫瘍性病変,特に癌新生のriskの差を考慮に入れて立てることが肝要である.すなわち,初回治療病変が進行癌や多発性腫瘍性病変であった患者は,癌や腺腫のhigh risk群ととらえて厳重なサベイランスを行うべきであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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