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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻12号

1985年12月発行

今月の主題 食道癌の早期診断

主題

表在食道癌の病理組織診断における問題点

著者: 渡辺英伸1 岩渕三哉1 井手博子2

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2東京女子医科大学消化器病センター外科

ページ範囲:P.1285 - P.1292

文献概要

要旨 食道のdysplasia(異形成)を正確に位置付けるために,これと炎症,潰瘍,放射線照射などに続発する反応性幼若(未熟)上皮および浸潤癌とを組織学的に比較検討した.反応性幼若上皮とdysplasiaはTable 1に示す所見で鑑別が可能であった.反応性幼若上皮では,高度の萎縮性上皮の場合を除き,未分化細胞からなる胚芽層は上皮の下1/3以下に限局していた.異形成は未分化異型細胞が上皮内を占める厚さの比率で,軽度異形成(下1/3以下),中等度異形成(下1/3~2/3未満),および高度異形成(2/3以上)に分けられた.上皮内癌は未分化異型細胞が上皮のほぼ全層を占める場合と,全層でなくとも核が高度の多形性と大小不同を示す場合とに相当した.ここに述べた異形成や上皮内癌の判定基準は確定的なものとは言えないが,患者の治療指針,食道癌発生母地の研究などの一助となるであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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