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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻12号

1985年12月発行

文献概要

今月の主題 食道癌の早期診断 主題

食道における癌とdysplasiaの鑑別の基準―特に微小病変に適用したもの

著者: 加藤洋1 矢ケ崎喜三郎1 柳澤昭夫1

所属機関: 1癌研究所病理部

ページ範囲:P.1303 - P.1309

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要旨 食道における大きさ10mmまでの上皮性異型病変を“微小病変”(ほとんどが上皮内病変)と呼び,これらについてわれわれが用いている癌とdysplasiaの組織学的鑑別の基準を紹介した.まず,上皮内異型病変における上皮の増殖様式をみるために,進行癌に隣接してみられる上皮内異型病変(ほとんどが癌)の観察を行った.上皮の増殖様式は次のように分類された.(a)papillaryあるいはverrucous type,(b)replacing type,(c)bulky(downgrowth)type,(d)branchingあるいはanastomosing type,(e)basal typeおよびPagetoid type.進行癌に接してみられる上皮内異型病変において最も頻度の高い増殖様式は(b)と(c),特に(c)であった.“微小病変”については上皮内癌(ep癌)は,(b),(c),(d)の3型を示したが,dysplasiaは原則的に(b)であった.癌とdysplasiaの鑑別には,一般に異型病変における分裂像の高さ(上皮内)を調べることが有用であるが,(c),(d)の増殖様式を示すものでは下方への発育(downgrowth)の深さを“より悪性の生物学的態度を示す指標”として重視したい.また,大細胞や巨細胞を混在するなどのpleomorphism(軽いものは除く)の所見はそれ自体で癌を示唆するものと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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