icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻12号

1985年12月発行

Coffee Break

潰蕩の再発をめぐって(その6)―維持療法の期間について

著者: 五ノ井哲朗1

所属機関: 1福島県立本宮病院

ページ範囲:P.1356 - P.1356

文献概要

 潰瘍の治癒後,再発防止のために維持療法を加えることは臨床的常識であるが,その方法についての意見はまちまちである.維持療法に用いる薬剤,あるいはその組み合わせの問題もさることながら,ここでは,その期間をどうするかという問題を取り上げてみよう.それについて,あるいは3か月といい,また6か月とし,1年といい,更にはなるべく長くとするなど,収拾は困難である.更に問題なことは,3か月といい,1年とする根拠がいっこうにわからないことである.

 この問題を,前回に述べた五十嵐らの報告によって検討してみる.その報告における観察対象を維持療法という点からみると,制酸剤や抗コリン剤を主とした薬剤を,若干の中断を交えて,15~22年の全観察期間中服用しつづけた患者は6名,その他は服薬,休薬常ならずというところで,全体としてみれば1/3程度の服薬群とみなされよう.五十嵐らは,この対象の1例1例について再発の起こった時点を明らかにしている.延べ110回の再発が観察されているが,それぞれの再発について,前回の潰瘍の治癒からの経過期間,すなわち再発間隔を調べてみると表のようである.再発の77%は,前回の潰瘍の治癒後2年以内に発生していて,それ以降の再発は著明に減少する.この数字からみれば,維持療法の期間を2年とするのが適当ではあるまいか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら