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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻2号

1985年02月発行

Coffee Break

X線の退潮をどうするか

著者: 中澤三郎1

所属機関: 1名古屋大学第2内科

ページ範囲:P.182 - P.182

文献概要

 胃のX線診断の退潮が言われてから既に久しい.そればかりか近ごろでは,X線はもういらないのではないかといった不要論まで飛び出してくる御時世である.かつてはX線はなくてはならない存在であったばかりでなく,“これができなくては人にあらず”とまで言われかねないほどの隆盛で,日本における胃癌撲滅の主力であった.早期胃癌診断を誰もができるようにした点,人類の健康に対する貢献度は正にノーベル賞級で,日本人が世界に誇る偉大な成果であった.

 しかし,である.栄枯盛衰は世の常とは言え,今日の惨状はあまりにもひどいではないか.読者はなぜこうなったとお考えであろうか.その原因については,種々の角度からの見方があると思われるが,筆者の見解というか偏見というかわからないが,幾つかの理由を挙げてみる.①X線検査にはある種の職人気質?が必要などとややオーバーに騒がれたこと,②テレビ時代になって検査に張り合いがなくなってしまったこと,③いくらバリウムと発泡剤で飲ませてひっくり返しても期待したほどの像が得られないこと,などのマイナス面に加え,内視鏡の操作が楽になり危険性がなくなっていること,生検が簡単にでき組織診断ができることなどが大きな要因と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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