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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻2号

1985年02月発行

文献概要

症例

粘液球形成症を伴った虫垂粘液嚢腺腫の1例

著者: 大野義一朗1 青柳晶彦1 中村正樹2 並木真生3 黒岩俊一4

所属機関: 1東京勤労者医療会代々木病院外科 2東京勤労者医療会代々木病院内科 3東京勤労者医療会代々木病院病理 4鹿児島医療生協市民病院内科

ページ範囲:P.213 - P.217

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要旨 患者は60歳女性,右下腹部の圧痛を伴う腫瘤にて来院.臨床検査成績,腹部単純X線写真にて著変なし,腹部超音波検査で鷲卵大の腫瘤を回盲部に認めた.壁は強エコーでその内縁は不整.内腔は低エコーで不均一であった.注腸二重造影では盲腸に表面平滑な隆起性病変を認めた.虫垂は造影されなかった.大腸内視鏡検査では盲腸の虫垂口を占拠する腫瘤を認めた.その表面は伸展するも粘膜病変はない.手術にて腫瘤は5×10cmの拡張した虫垂と判明した.外表面は平滑で光沢があり,内腔には粘液と径1~3mmの乳白色の球体が充満していた.組織学的には正常の虫垂粘膜が消失し,乳頭状に内腔に増殖する異型粘膜を所々に認めた.これは粘液産生する円柱上皮より成り染色体の濃染する核を有している.核は鋸歯状でgoblet cellが散在していた.球体はalcian blueとPAS染色に陽性の粘液より成り,層構造を持ち,また細胞破片を含んでいた.粘液球形成症を伴った虫垂粘液嚢腺腫と診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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