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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻3号

1985年03月発行

症例

電解質異常を来した巨大な直腸villous tumorの1例

著者: 松田保秀1 堀川征機1 浜辺昇1 藤田礼一郎2 守谷孝夫3 佐野光一4 白沢春之4

所属機関: 1社会保険浜松病院大腸肛門病センター 2社会保険浜松病院内科 3立川共済病院外科 4浜松医科大学第2病理

ページ範囲:P.317 - P.322

文献概要

要旨 患者は72歳の男性で,主訴は慢性下痢,腹痛,倦怠感.1978年ごろより時々下痢があり放置.1981年,風邪を引いてから急に主訴が出現し,著明になったため入院した.初診時は1日十数回の粘液透明の下痢があり,多いときは2,300mlにも達した.著明な脱水,高窒素血症があり,電解質失調を来していた.水様便中のカリウム濃度が血清中より5倍も多い点が注目された.注腸造影では直腸よりS状結腸にかけてけば立ち像があり,二重造影像が不明瞭であった.内視鏡では8~25cmの大腸にビロードを敷き詰めたような平坦な腫瘍があり,多量の粘液に覆われていた.villous adenoma with severe fluid depletionの診断にて,1カ月間で電解質を補正後,前方切除術を施行した.術後経過は良好で,電解質異常,下痢も消失し,現在も健在である.腫瘍の大きさは20×14cm,tubulo-villous adenomaで癌の合併はなかった.本邦における本症の報告は6例あったが,本例がその典型例と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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