今月の主題 膵・胆道の形成異常
主題症例
Pancreas divisumに発生し,2年6か月間の経過観察をした膵癌の1例
著者:
大橋計彦1
村上義史1
竹腰隆男1
伊谷賢次1
久保啓吾1
高柳富士子1
高木国夫2
翁秀岳2
太田博俊2
大橋一郎2
平岩隆男3
桜井賢二3
川口隆3
加藤洋4
柳沢昭男4
小沢昭司5
所属機関:
1癌研究会附属病院内科
2癌研究会附属病院外科
3癌研究会附属病院放射線科
4癌研究会附属病院病理
5小沢胃腸科
ページ範囲:P.397 - P.402
文献購入ページに移動
要旨 63歳,女性.手術2年6か月前に心窩部の激痛があり,血清,尿アミラーゼは著しい高値を示した.胃X線検査で胃体部小彎に胃外性圧排がみられた.副乳頭挿管によるERCPで,divisumを伴う背側膵炎と診断した.手術1か月前,心窩部痛が再来し背部痛,食欲不振を伴った.血清,尿アミラーゼともに低値を示し胃外性圧排も前回より著明となった.ERCPで頭部と体部の2か所に主膵管の不整狭窄がみられ,重複膵癌と診断.CT,血管造影でも切除可能な重複膵癌と診断し,膵全摘を施行した.病理検索では体尾部から頭部まで拡がった1つの膵癌であった.膵管癒合不全例に発生し,2年6か月の観察を行った例でERCP像,胃体部圧排,アミラーゼ値の経過を中心に報告した.