文献詳細
症例
文献概要
要旨 16歳の男性の直腸下部に多発した炎症性ポリープを報告した.患者は4か月前より持続する血便と排便時痛を訴え来院し,X線検査と内視鏡検査で,肛門輪に接した直腸にほぼ全周性に発生した大小様々な結節状の隆起性病変が見出された.生検の組織診では悪性の所見はみられなかったが,治療の日的で経肛門的にポリープ切除術がなされた.切除ポリープは16個に及び,多くは0.5~1.5cmの大きさであったが,最大のものは2×3cmで亜有茎性であった.いずれのポリープも組織学的には同一で,増生した肉芽組織ないし線維組織が主体で一部で過形成性腺管がみられるにすぎなかった.表層はびらん性で滲出物の付管がみられた.腺腫性細胞や悪性細胞は全くみられず,ポリープは組織障害の修復に閨連して生じた炎症性のものと考えられた.
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