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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻5号

1985年05月発行

今月の主題 食道静脈瘤の硬化療法

主題

食道静脈瘤治療の変遷

著者: 出月康夫1 三條健昌1 梅北信孝1

所属機関: 1東京大学医学部第2外科

ページ範囲:P.469 - P.479

文献概要

要旨 食道静脈瘤の治療法として①門脈への流入血流量の減少(動脈結紮法,脾摘),②静脈瘤血流に対する迂回路の作製(門脈減圧手術,選択的門脈減圧手術,副血行路新生促進),③門脈系と食道静脈瘤の分離(食道静脈瘤直達手術,内視鏡的硬化療法,静脈瘤塞栓術),④出血部位除去(胃全摘,食道全摘)などが実施されてきたが,理論的な根拠を持って治療が進められるようになったのは,WhippleらのPresbyterian学派の研究業績によるものである.静脈瘤の治療は,古典的対症治療(直達手術),非選択的シャント手術を経て,現在は選択的シャント術,直達手術,内視鏡的硬化療法の3者が並行して行われているが,いずれも今なお,完成された治療法ではなく,その適応,優劣についても議論がある.今後更にそれぞれに理想的な治療法への改良が必要であろうが,今後の治療法の開発を考えるに当たっては,Whippleらによって確立された門脈圧亢進症の概念,門脈系副血行路動態の分析と共に,最近明らかにされつつある静脈瘤領域のhyperdynamic stateをも考慮して進めていく必要があろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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