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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻5号

1985年05月発行

症例

長期シメチジン療法により低蛋白血症および胃粘膜所見の著明な改善を認めたMénétrier病の1例

著者: 石田勉1 鈴木明1 立野正敏2 山口潤2 武田茂3 水越睦朗3 小池章之3 佐藤幹弥3 渋江公一34

所属機関: 1札幌医科大学第3内科 2市立札幌病院中検病理 3市立札幌病院内科 4札幌逓信病院内科

ページ範囲:P.527 - P.532

文献概要

要旨 動悸と浮腫を主訴とした29歳女性で,その後28か月間経過をみているMénétrier病の1例を報告した.検尿正常,便潜血反応陽性で,低蛋白血症,低Ca血症,鉄欠乏性貧血,無酸症を伴っていた.胃X線,内視鏡検査で穹窿部から体下部にかけて巨大皺襞を,幽門前庭部には萎縮性変化を認めた.胃生検で腺窩上皮の過形成と強い細胞浸潤像を認めた.蛋白漏出試験では高値を示した.以上の所見より低蛋白血症を伴うMénétrier病と診断した.治療にはトラネキサム酸は全く無効で,臭化プロパンテリン療法でTP量の上昇を認め,更に臭化プロパンテリンとシメチジンとの併用療法でTP量は上昇を示した.その後シメチジン単独療法を行ったが,TP量は8か月間にわたり漸減した後,著明な上昇を示し,現在は安定した値であり,肥厚していた胃壁および胃の大きさの正常化,巨大皺襞の改善,皺襞ならびに皺襞間表面の顆粒状変化は消失した.現在患者はシメチジン療法により正常な日常生活を送っている.筆者らは低蛋白血症を伴うMénétrier病では,外科的治療の前に,臭化プロパンテリン,シメチジンによる単独あるいは併用療法を試みるべきであると考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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