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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻6号

1985年06月発行

文献概要

胃と腸ノート

蛋白漏出を来すびらん性胃炎

著者: 多田正弘1 柳井秀雄1 苅田幹夫1 竹本忠良1

所属機関: 1山口大学第1内科

ページ範囲:P.594 - P.594

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 蛋白漏出性胃腸症は,単一疾患ではなく90近くもの疾患を総合した症候群である.Waldmann1)はその成因を,①胃腸のリンパ管異常によるリンパ液の漏出,②胃腸の炎症,潰瘍面からの血清蛋白の漏出,③機序不明の3つに分類している.この胃腸の炎症,潰瘍面よりの蛋白の漏出を来すものの1つとして,びらん性胃炎が挙げられている.われわれは日常の内視鏡検査において,びらん性胃炎を数多くみているわけであるが,蛋白漏出性胃腸症の1つとして本症をみていることは少ない.

 近藤ら2)は蛋白漏出を来すびらん性胃炎およびMénétrier病において,粘膜の局所線溶が亢進していることを明らかにし,抗プラスミン療法が有効であると報告している.しかし,こういった薬物療法だけでは無効な症例があることも事実である.最近,われわれは3例の蛋白漏出を来すびらん性胃炎を経験したが,2例は抗プラスミン療法では無効であった.以前は,こういう症例はびらん性胃炎といえども手術しか治療法はなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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