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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻6号

1985年06月発行

今月の主題 慢性胃炎をどう考えるか

主題

ガストリン分泌能・ガストリン細胞分布よりみた慢性胃炎と腺境界

著者: 南部匠1 松井敏幸1 飯田三雄1 八尾恒良2

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.625 - P.633

文献概要

要旨 広範胃切除術を受けた44例(十二指腸潰瘍16例,胃潰瘍8例,胃癌20例)について,術前に胃酸分泌能,ガストリン分泌能を測定し,切除胃のガストリン細胞(G細胞)を酵素抗体法にて同定,G細胞総数,G細胞領域,慢性胃炎の程度を検索し,これらをまとめて検討した.ガストリン分泌能はG細胞総数と相関した.幽門腺萎縮,腸上皮化生は共にその程度が進行するにつれて,G細胞総数の減少をもたらし,同時にガストリン分泌能の低下をもたらすことが判明した.すなわち形態学的に認められる幽門腺領域の慢性胃炎の進行に伴い,同領域の機能としてのガストリン分泌能の低下の起こることが判明した.胃酸分泌能とガストリン分泌能との間には相関関係がなく,胃底腺領域と幽門腺領域の慢性胃炎の進行が無関係に起こることが示唆された.G細胞領域は幽門腺,偽幽門腺の分布と完全に一致する症例がなく,中村のF境界線とも一致しなかった.中村の通常型に当たる38例では,G細胞領域の面積は年齢,幽門腺萎縮,腸上皮化生の程度との間に相関関係を認めず,偽幽門腺の拡がりとも無関係であった.すなわち加齢に伴い偽幽門腺が噴門側に拡がっても,G細胞領域は拡がらないことが判明した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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