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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻7号

1985年07月発行

文献概要

今月の主題 小腸診断学の進歩―実際から最先端まで 主題

延長型十二指腸ファイバースコープによるプッシュ式小腸内視鏡検査の挿入法と診断能

著者: 飯田三雄1 山本勉2 八尾恒良2 渕上忠彦3 興梠憲男1 重松明博4 岩下明徳5 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学医学部第1内科 3松山赤十字病院消化器科 4九州大学医学部第2病理 5松山赤十字病院検査部病理

ページ範囲:P.733 - P.746

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要旨 直視型十二指腸ファイバースコープの延長型(GIF-P2-2000,GIF-P3-2000,GIF-Q10-2000)を用いたプッシュ式小腸内視鏡検査が,十二指腸第3部~4部および空腸上部に病変が認められた(あるいは疑われた)57例に対し61回施行された.57例61回の検査中55例59回において検査の目的を達成できた.上部空腸への挿入が不成功に終わった2例はいずれもGIF-P2-2000によって施行され,1例は術後の腸管癒着が,他の1例は十二指腸潰瘍に基づく球部変形がそれぞれ高度なため,十二指腸第3部以降への内視鏡挿入が不可能であった.内視鏡の挿入深度をTreitz靱帯からの距離で表すと,スライディングチューブ不使用群23.8±22.8cm(±SD),スライディングチューブ使用群53.5±24.2cmであり,後者のほうが有意に深部まで挿入可能であった.また,59回の検査中51回において直視下生検が施行され,生検鉗子の作動,採取組織片の大きさも十分満足すべきものであった.以上の成績より,本検査は十二指腸遠位側~空腸上部(Treitz靱帯より100cm以内)の病変の診断に極めて有用であり,深部空腸への確実な挿入のためにはスライディングチューブが必要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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