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文献詳細

雑誌文献

胃と腸20巻7号

1985年07月発行

文献概要

今月の主題 小腸診断学の進歩―実際から最先端まで 主題研究

小腸癌における腫瘍性内分泌細胞

著者: 岩渕三哉1 渡辺英伸1 石原法子1 味岡洋一1 遠城寺宗知2 岩下明徳3 矢内原昇4 伊藤正毅5 宇尾淳子6

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2九州大学医学部第2病理 3松山赤十字病院病理 4静岡薬科大学生物薬品化学 5新潟大学医学部第1内科 6シオノギ製薬宇尾実験室

ページ範囲:P.773 - P.780

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要旨 小腸癌24個を用いて,同癌内での腫瘍性内分泌細胞の出現状況を検討した.同癌の75.0%に好銀性反応陽性細胞を,41.7%に銀親和性細胞を認めた.癌の発生部位別にみると,好銀性反応陽性細胞と銀親和性細胞は,十二指腸癌で50.0%,37.5%,空腸癌100%,37.5%,回腸癌75.0%,50.0%に出現した.銀反応陽陸細胞の出現程度は,回腸癌で高く,空腸癌,十二指腸癌で低い傾向にあった.11種類のアミン・ペプタイドに対する酵素抗体法の検索で,小腸癌の62.0%に陽性細胞がみられ,これらはすべて好銀性反応陽性例であった.serotonin細胞が小腸癌内の内分泌細胞の主体であった.十二指腸癌・空腸癌では,serotonin細胞以外のべプタイド陽性細胞の出現頻度と程度は概して低かった.しかし,回腸癌ではserotonin細胞のほかに,somatostatin,peptide YY,neurotensin,glucagon,glicentin細胞が半数以上の腫瘍に出現し,その出現程度も高かった.小腸癌内の内分泌細胞の種類と各種類の細胞の出現程度は正常小腸粘膜内のそれらと類似していた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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