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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻1号

1986年01月発行

文献概要

今月の主題 消化管の“比較診断学”を求めて(1) 主題

消化管癌のX線診断における側面像の意義―二重造影像による深達度診断

著者: 牛尾恭輔1 後藤裕夫1 村松幸男1 高安賢二1 森山紀之1 松江寛人1 笹川道三1 山田達哉1 板橋正幸2 廣田映五2 市川平三郎3

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター研究所第1病理 3国立がんセンター

ページ範囲:P.27 - P.41

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要旨 二重造影像にて病変の側面像が撮られ,しかも大きさが3cm以下の,食道癌23例,“隆起性”胃癌21例,腸癌48例について,深達度診断をX線学的に行い,以下の結果を得た.①癌の深達度が深くなるにつれて,側面像における消化管の辺縁の変形とその程度は強くなっていた.Ⅱ消化管の変形には共通性がみられ,1側変形の型は,無変形,角状変形,弧状変形,台形状変形に分類することが最も妥当であると考えられた.③台形状変形を示す例では,癌巣は固有筋層またはそれ以下に中程度量以上浸潤しており,明らかな進行癌の所見とみなしうる.④弧状変形を示す揚合は,癌巣は粘膜下組織にmassiveに浸潤しているか,固有筋層にも少量浸潤している所見とみなしうる.⑤角状変形を示す例では,粘膜下組織層に中程度量浸潤していると考えられる.⑥無変形(病変自体による辺縁不整と直線化,硬化所見を伴うも,明らかな変形とはみなしえない程度のもの)では,癌巣は粘膜固有層内にとどまっているか,または極く少量が粘膜下組織層に浸潤しているとみなしうる.以上より,消化管癌の深達度診断に際しては,積極的に病変の側面像を撮影し,管の辺縁の変形の有無とその程度を解析することが重要である.また変形には,食道,胃,大腸に共通する型が認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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