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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻10号

1986年10月発行

文献概要

症例

胆道鏡検査にて診断された早期胆管癌の1例

著者: 阿部要一1 鈴木修一郎1 櫛淵統一1 桐山誠一1 伊藤博1 藤巻雅夫1

所属機関: 1富山医科薬科大学第2外科

ページ範囲:P.1109 - P.1112

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要旨 患者は77歳女性.1年前に胆嚢胆管結石症にて胆摘,胆管切開,Tチューブドレナージが行われ,今回,黄疸と腹部腫瘤のために再入院した.腹部超音波検査にて右上腹部に囊胞とその後側の拡張した胆管を認めたが,結石や腫瘍は示現されなかった.囊胞を切開し造影したところ,囊胞と総胆管は交通があり,下部胆管の逆U字型完全閉塞とその肝側胆管の拡張を認めた.腹腔動脈造影やCTでは腫瘍や肝転移の所見はなく,結石の再発を疑ったが,痕孔よりの胆道鏡検査にて下部胆管に乳頭状の腫瘍があり,生検にて癌腫と判明し,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では腫瘍は乳頭状,大きさ2.4×2.0×1.7cmで,その腫瘍の周囲には平坦で軽く盛り上がった粘膜がみられ,肝側の胆管は拡張していた.組織学的に腫瘍とその周囲の盛り上がった粘膜は高分化型乳頭状腺癌で浸潤は粘膜内にとどまる早期胆管癌であった.胆道鏡検査は胆管癌の正確な診断と治療を行ううえで有用な検査法であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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