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書評「胃X線診断の考え方と進め方」
著者: 松浦啓一1
所属機関: 1佐賀医科大学
ページ範囲:P.1130 - P.1130
文献購入ページに移動 医学は純粋な科学ではないという言葉は古くから耳にしてきたところである.複雑な心と構造をもった人の病を対象とする医学のなかには理屈通りにはいかぬ場合が少なくない.罹病範囲や進行程度がほとんど同じであるのに必ずしも予想通りの結果を示してはくれない.科学的究明が不足であると言われればそれまでであるが,医療が経験の賜と言われる所以もその辺にある.
このような臨床のなかにあってX線診断だけは別である.少なくとも診断に供されるX線像は,全く正確に物理学的な法則に従って撮影され,視覚に訴えるように作成された結果である.したがって,1枚のフィルムの上には黒白の差として描出されて然るべきもののみしか描出されていない.読影ということは,このようにして物理学的に作成された陰影を,生体を切り開いて肉眼で見たような形に還元して,その実体を把握する非観血的生体解剖にほかならない.
このような臨床のなかにあってX線診断だけは別である.少なくとも診断に供されるX線像は,全く正確に物理学的な法則に従って撮影され,視覚に訴えるように作成された結果である.したがって,1枚のフィルムの上には黒白の差として描出されて然るべきもののみしか描出されていない.読影ということは,このようにして物理学的に作成された陰影を,生体を切り開いて肉眼で見たような形に還元して,その実体を把握する非観血的生体解剖にほかならない.
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