文献詳細
今月の主題 消化性潰瘍のトピックス(2)―胃粘膜防御機構を中心に
主題
文献概要
要旨 細胞保護作用は壊死惹起物質(胃酸の存在がなくとも病変を惹起しうる)による病変の発生を阻止する働きであり,プロスタグランディン(PG)がそれを示す代表的物質であることが明らかにされている.したがって,制酸剤あるいはH2ブロッカーなどの酸分泌抑制剤が示す抗潰瘍作用とは明らかに一線を画すべきものである.また,その評価はあくまで肉眼視を基本とし,それに組織学的(超微形態)所見を加味して判定する.こうした動物でみられる細胞保護作用がヒトでも認められるかにつき検討を加えた.健常ボランティアを対象としてエタノールを胃内に投与し,壊死病変を作製した.これに対して,PG,内因性PG合成増強作用を持つものの前処置がその発生を阻止することから,ヒトにおいても細胞保護作用を評価することが可能である.
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