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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻11号

1986年11月発行

文献概要

症例

胃生検にて確診し治癒経過を観察しえた梅毒性胃炎の1例

著者: 梶山徹1 楠川順也1 玉田尚1 山下幸孝1 西尾彰功1 山本富一1 洲崎剛1 兼松雄象1 森田吉和2 小橋陽一郎3 宮西節子4

所属機関: 1天理よろづ相談所病院消化器内科 2天理よろづ相談所病院皮膚科 3天理よろづ相談所病院病理 4天理よろづ相談所病院臨床病理

ページ範囲:P.1231 - P.1236

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要旨 35歳女性で上腹部痛,嘔吐にて来院,胃透視で前庭部に漏斗状狭窄がみられ胃癌を疑われたが,内視鏡検査により梅毒性胃炎と確診し,駆梅療法にて治癒しえた1例を報告した.患者は梅毒血清反応強陽性で,胃内視鏡では前庭部に不整形多発びらんがあり,極めて易出血性であった.生検材料の位相差鏡検にて活発に運動するスピロヘータを認め,螢光抗体間接法を用いてT.pallidumを証明したが,鍍銀染色でも胃粘膜組織内にラセン体を確認した.また生検材料のsaline emulsionをラットに接種し,その病原性をも確認しえた.ペニシリン投与により約1か月で臨床症状は改善し胃透視上の壁硬化も消失,3か月後には内視鏡所見も正常に復し治癒を確認した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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