icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻11号

1986年11月発行

文献概要

症例

亜輪状潰瘍を示した虚血性大腸炎の1例

著者: 豊原時秋1 望月福治1 伊東正一郎1 池田卓1 藤田直孝1 李茂基1 長野正裕1 舟田彰2

所属機関: 1仙台市医療センター消化器内科 2舟田病院

ページ範囲:P.1243 - P.1248

文献購入ページに移動
要旨 61歳,女性の亜輪状潰瘍を示した虚血性大腸炎を報告した.患者は突然の下腹部灼熱感と下血を訴えて来院し,X線検査でS状結腸に,中心に浅い不整なバリウム斑とこれを取り巻く周囲に輪状の隆起を思わせる透亮像を伴う潰瘍像がみられたが,栂指圧痕像や縦走潰瘍はみられなかった.内視鏡検査でS状結腸に辺縁平滑な浅い亜輪状の潰瘍がみられ,潰瘍底は小結節状の隆起と出血を伴っていた.生検の組織診では悪性の所見はみられなかったが,潰瘍修復の遅延を認めたので悪性も否定できず発症より45日目にS状結腸切除術が施行された.切除標本では粘膜集中像を伴う大きさ2.7×1.3cmの亜輪状潰瘍がみられた.H・E染色標本の病理組織診で病巣はUl-Ⅰを呈した非特異性潰瘍と診断されたが,鉄染色で潰瘍底に担鉄細胞が証明され虚血性大腸炎と診断された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?