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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻12号

1986年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸のvillous tumor 主題

大腸villous tumorの病理診断―生検診断,癌化の問題を含む

著者: 岩下明徳1 飯田三雄2 岩下俊光3 森正樹3 村山寛4

所属機関: 1松山赤十字病院病理 2九州大学医学部第2内科 3九州大学医学部第2病理 4福岡大学医学部第1病理

ページ範囲:P.1303 - P.1316

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要旨 大腸villous tumorを,肉眼的には隆起性病変のほぼ全体の表面が絨毛状ないし微細顆粒状を呈し,組織学的には病変の90%以上が絨毛状突起から成るものと規定し,これに合致する21症例21材料について,臨床病理学的立場から検討した.本腫瘍は組織学的に,①腫瘍全体が非常に分化した腺癌(12例),②癌化を伴う絨毛腺腫(6例),③絨毛腺腫(3例)の3群に分けられた.これらの手術標本診断と生検診断とを比べると,それらが一致するものは33%にすぎなかった.また,腫瘍構成細胞として,全例に杯細胞が,12例に銀還元性細胞が,9例にPaneth細胞が認められた.以上の結果から,本腫瘍は潜在的に悪性ないし本態的に悪性である可能性が高いこと,および生検像のみでは本腫瘍の本態(本質)の診断が難しいことを指摘し,併せてその組織発生について簡単に考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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