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今月の主題 大腸のvillous tumor 主題
大腸のvillous tumor―定義と治療
著者: 武藤徹一郎1 安達実樹1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1365 - P.1372
文献購入ページに移動要旨 villous tumorとは肉眼的にvillousな所見を呈する腫瘍で,多くはvillous~tubulovillous adenomaの組織像を呈する.一部に癌が認められることがあるが,これはm癌で治療方針に変わりはない.肉眼的に浸潤癌を示唆する所見(硬結,潰瘍)がみられ,組織学的にも癌が証明された場合にはvillous tumorには含まれない.このようにvillous tumorは純粋に臨床的,肉眼的診断名であること,臨床的には良性病変であることを銘記しておく必要がある.良性病変であるから局所切除,焼灼によって治療する.これが不可能な場合には前方切除が考慮される.われわれの経験したvillous tumorは11例で,1例を除いて直腸病変であり,m癌3例,sm癌2例,ss癌1例が含まれていた.1例に局所再発がみられたが,局所切除の追加によって治癒した.局所切除法には経肛門的,経括約筋的,経仙骨的の3法があるが,腫瘍の部位,大きさ,形態によっていずれかを選択する.villous tumorは局所切除によって治療可能な病変である.
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