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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻2号

1986年02月発行

文献概要

症例

十二指腸潰瘍を併発した大腸Crohn病の1例―切除胃,生検肝組織の病理組織学的検索を中心に

著者: 川口研二1 丸山道生1 滝沢登一郎1 小池盛雄1 中島均2 田島強3

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科 2東京都立駒込病院内科 3東京都立駒込病院内視鏡科

ページ範囲:P.201 - P.207

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要旨 大腸Crohn病で治療中の31歳の男性に十二指腸潰瘍が併発し,手術を余儀なくされた.切除胃ならびに生検肝組織の詳細な検索により以下の所見を得た.十二指腸潰瘍は通常の消化性潰瘍の形態とは異なり,fissuring ulcer,粘膜下組織を横走する膿瘍,類上皮細胞肉芽腫がみられ,一般的な大腸小腸Crohn病にみられる所見に一致すると考えられた.肉眼的に著変のない胃の胃底腺,幽門腺領域に腺頸部を中心にリンパ球を中心とする単核細胞浸潤による組織破壊巣がみられ,一部は明らかな類上皮細胞肉芽腫に連続した.肝門脈域にも同様な類上皮細胞肉芽腫を認めた.これらはCrohn病の肉芽腫形成の病理組織学的初期病変と考えられるが,臨床的に明らかな病変へ移行することは極めてまれなことと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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