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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻4号

1986年04月発行

今月の主題 Ⅱb型早期胃癌の診断

主題

純粋Ⅱb型早期胃癌の病理

著者: 相川啓子1 岩渕三哉1 渡辺英伸1 藤沼澄夫1 佐々木亮1 人見次郎1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.371 - P.378

文献概要

要旨 “癌巣の粘膜面全体が癌巣周囲の正常粘膜面とほぼ同じ高さを示している早期胃癌”と定義された純粋Ⅱb型早期胃癌10個(微小癌を除く)を用いて,本癌の成り立ちと肉眼所見の形成を検討した.この際,癌組織の粘膜内進展様式を,腺窩層間質型,腺窩層全層型,粘膜全層型に分類することが有用であった.その結果,本癌は,①癌組織型別に固有の粘膜内進展の特性,②粘膜内での癌組織の量,③粘膜の腸上皮化生,固有胃腺の萎縮,線維筋症の程度,④胃酸の消化作用,などの総合因子で規定された癌巣粘膜の厚さと周囲粘膜の厚さとが,同じ高さの均衡を保つ場合に形成される肉眼形態であると考えられた.更に,本症癌巣の表面模様の形成には癌巣深部の線維筋症と固有胃腺の多寡が,色調の変化には癌組織の露呈と癌組織内の拡張した毛細血管の増加が大きく関与していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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