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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻4号

1986年04月発行

今月の主題 Ⅱb型早期胃癌の診断

主題

Ⅱb型早期胃癌の臨床病理,特にllbの定義の適用条件について

著者: 中村恭一 松本文和 大倉康男 牧野哲也 細井董三 西沢護

所属機関: 1筑紫大学基礎医学系病理 2東京都がん検診センター

ページ範囲:P.379 - P.387

文献概要

要旨 早期胃癌の肉眼分類は癌表面の凹凸をもって類別されている.その表面の凹凸はⅠ型→Ⅱc型へと連続的に変化させうるものであるから,早期胃癌肉眼分類は連続体の分割である.したがって,その分類においてはどの類に属するのか不確実な3つの領域が生ずるのは必然である.その3つの不確実領域Ⅰ~Ⅱa,Ⅱa~Ⅱb,Ⅱb~Ⅱcのうち,Ⅱb近傍の癌の分類適用のみが問題とされるのは,“X線・内視鏡診断法の極限を求めて”という命題が残されているからであろう.不確実領域のものの類別においては,観察方法と人のパターン認識の感性とによって左右される.なぜならば,5つの観察方法,組織標本,固定肉眼標本,新鮮肉眼標本,内視鏡写真,そしてX線写真のそれぞれの所見間のⅡbであるとする一致率は50~60%であるからである.したがって,Ⅱb型とするためには条件づけが必要となる.それは,3つ以上の所見がⅡb型である場合をⅡb型癌とすることであろう.もし,5つの観察方法でⅡbであることとすると,胃のおかれた状態像が問題とされるし,またⅡbとは微小癌においてのみ存在するということになってしまう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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