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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻4号

1986年04月発行

今月の主題 Ⅱb型早期胃癌の診断

主題

純粋Ⅱb型早期胃癌の病理

著者: 荒木京二郎1 山崎奨1 公文正光1 山下邦康1 緒方卓郎1 中沢慶彦2 山本泰猛2

所属機関: 1高知医科大学第1外科 2高知医科大学第1内科

ページ範囲:P.389 - P.394

文献概要

要旨 (1)肉眼的に判断される純粋Ⅱb,類似Ⅱb,Ⅱc,Ⅱaと周囲粘膜との高低差を測定し,胃小区間溝の深さ,肉眼的には認識できない胃小窩,および萎縮性胃炎で粘膜表面の粗ぞうとして辛うじて認識できる開大した胃小窩の深さとを対比した.純粋Ⅱbは開大した胃小窩と,Ⅱc,Ⅱaは胃小区間溝とほぼ似通った値を示し,それぞれ0.1mm前後,0.2mm前後であった.0.1mm以下の段差は肉眼的に認識し難いと考えられた.(2)大きさは5mm以下から数cmのものまで存在し,胃液酸度は全体に低く,特に大きなⅡbに低い傾向があった.小さいⅡbは胃全体に散在し,大きいⅡbはM・C領域に局在していた.小さいⅡbは発癌初期像を示すと思われるが,いずれ他の型に変わるものも含まれている可能性がある.大きなⅡbは粘膜内側方浸潤を示し,かつ胃酸などによる変化を受け難い状況にある癌と考えられた.(3)組織型は分化型が多く(82.8%),低分化型はほとんどが随伴例であった.分化型は癌が粘膜全層を占めているが極めて分化の高いものか,あるいは異型が強いものは全層を占めないものであり,癌は表面に露出し,実体顕微鏡では指状,網目状,平坦状などの形態を示した.低分化型では表面は被蓋上皮に覆われ,癌は粘膜上層を浸潤し,固有腺の残存がみられ,実体顕微鏡では粘膜模様が浮腫状,やや粗大で,軽度の配列の乱れとして捉えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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