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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻5号

1986年05月発行

文献概要

今月の主題 早期胆嚢癌―その診断の進歩 主題

超音波断層法(US)による早期胆嚢癌の診断―その可能性と限界

著者: 安田健治朗1 向井秀一1 清田啓介1 西村和彦1 趙栄済1 小林正夫1 吉田俊一1 今岡渉1 藤本荘太郎1 中島正継1

所属機関: 1京都第二赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.497 - P.505

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要旨 腹部超音波断層法が早期胆囊癌診断に果たす役割,特にそのスクリーニング能と診断限界について検討した.1983年4月から1985年12月までに,京都第二赤十字病院のドックを受診した8,900名のうち超音波断層検査で胆囊に何らかの異常を指摘されたものは1,139名(12.8%)で,このうち胆囊小隆起性病変を指摘されたものは718名(8.1%)であった.過去5年間に胆摘術を施行された686例中30mm以下の隆起性病変を認めたものは,胆囊癌6例を含む60例であった.31例はcholesterol polypで93.5%が10mm以下の小病変であったが,6例の胆囊癌症例中3例は10mm以下の小病変で,大きさによる質的診断は困難であった.このため60例中USで描出された55例について病変の超音波断層像を5型に分類し,組織所見と対比した.その結果,胆囊癌を含むadenomaとadenomyomatosisは乳頭状実質エコー像と結節状実質エコー像を示した.以上,US検査は早期胆囊癌診断に十分なスクリーニング検査能を持つが,精密検査を要する超音波断層像の検討と共に,注意深い病変断層像の観察と解析が不可欠と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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