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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻6号

1986年06月発行

文献概要

Coffee Break

腹痛を止むること神の如し

著者: 五ノ井哲朗1

所属機関: 1福島県立本宮病院

ページ範囲:P.656 - P.656

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 救急隊員に抱えられて,患が闖入してきた.44歳の家婦で,胃潰瘍が治癒した後,3か月ほどガスター,セルベックスによる維持療法中の患者である.昨日の夕方から便と尿が全く出なくなったという.便意も尿意もしきりなのだが,さて,トイレに行ってみると,少しの便も1滴の尿もないというのである.昨夜は20~30回もトイレに通い,苦しいのと不安とで一睡もせず,朝になるのを待って近くの診療所にゆき,注射と浣腸をして貰ったが,やはり便も尿も出ず,ますます苦しくなるばかりで,救急車に運ばれて来診したという次第である.話の間もじっとしておらず,顔には冷汗が流れている.腹部は全体に膨満,緊張して,臍下には小児の頭ほどに膀胱が触れ,指先で軽く押しても痛い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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