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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻7号

1986年07月発行

文献概要

今月の主題 膵の囊胞性疾患―その診断の進歩 主題

膵の囊胞性疾患の診断―ERCPを中心に

著者: 山雄健次1 中澤三郎1 内藤靖夫1 木本英三1 森田敬一1 乾和郎1 大沼俊和1 船川武俊1 林芳樹1 福井明1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2内科

ページ範囲:P.745 - P.753

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要旨 膵囊胞は,その背景に慢性膵炎や膵癌などの重要な疾患を有することが多い.そこで膵囊胞の自験103例の膵管像を詳細に検討し,ERCPの膵囊胞に対する診断能につき検討した.炎症性膵囊胞の診断においてはERCPは背景病変の診断に優れていた.すなわち囊胞を合併した慢性膵炎においては,囊胞を直接証明しえた症例は約60%(貯溜囊胞100%,仮性囊胞37%)であったが,囊胞との交通のない症例の91%の症例で慢性膵炎の膵管像が得られ,背景に慢性膵炎のあることが診断しえた.腫瘍性囊胞の診断では,膵管像の特徴として,われわれの言う圧排型や拡張型のほかに膵管内透亮像や陰影欠損像がみられ,腫瘍性囊胞の診断においてERCPは従来考えられているより有用であることが判明した.二次性囊胞においてもERCPは背景病変の診断に有効であった.最近注目されている粘液産生膵癌(腫瘍)を膵管像や病理組織像より検討すると,腫瘍性囊胞と極めて類似し,これらは互いに関連性のある疾患であると推測された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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