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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻7号

1986年07月発行

文献概要

今月の主題 膵の囊胞性疾患―その診断の進歩 主題

膵囊胞の治療方針

著者: 竹本忠良1 嶋田正勝1 富士匡1 相部剛1 野口隆義1 天野秀雄1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.775 - P.783

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要旨 過去10年間に,われわれの教室では30例の膵囊胞性疾患を経験した.Howardらの分類に従うと,仮性囊胞が18例で,そのうち14例が膵炎性,2例が外傷性,残り2例が腫瘍性であった.真性囊胞は12例で,うち10例が貯溜性,1例が先天性,1例が腫瘍性囊胞であった.治療法に関しては,仮性囊胞14例に何らかの外科的治療が行われた.真性囊胞のうち貯溜性囊胞では,すべて成因となった慢性膵炎の保存的治療が行われ,腫瘍性囊胞に対しては膵十二指腸切除術が施行された.次に,膵囊胞の治療方針に関して文献的考察を加え,膵囊胞の病態は大変複雑であり,その治療法も画一的なものではないこと,個々の病態に応じた適切な治療法を選択すべきであると結論づけた.また,囊胞に対する治療だけでなく,成因や合併する膵病変に対する治療も重要視されなければならないことは改めて強調するまでもない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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