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書評「臨床のための疫学」 フリーアクセス
著者: 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学
ページ範囲:P.754 - P.754
文献購入ページに移動経験を積んだ臨床医に役立つ疫学は人間集団を対象とした研究の方法論を体系化したものであり,臨床医学の基礎科学とも言えるものである.しかし,日本の多くの臨床家は今まで疫学を学ぶ機会にはあまり恵まれていなかった.幸いに,本書は医学生だけでなく,病院のレジデントや十分に経験のある臨床家を対象にして著述されている.臨床家にとって身近な題材を用いて,疫学の考え方を理解しやすく説明している.全編を通じて強調されているのは,“偏り(バイアス)”と“偶然(チャンス)”という概念であり,また,この2つが人間集団を研究する疫学を理解するうえでのキーポイントとなっている.頻度やリスクといった疫学に特異的な項目だけでなく,予後や治療といった臨床家に密接な項目についても説明が加えられており,有用な知識を提供している.
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