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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻9号

1986年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎と大腸癌 主題

潰瘍性大腸炎に合併する癌とdysplasia―欧米と日本の実状

著者: 武藤徹一郎1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.939 - P.946

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はじめに

 Crohn & Rosenberg(1925)1)が潰瘍性大腸炎(UC)に大腸癌を合併した症例を報告し,Bargen(1928)2)が17例の報告をして以来,UCに癌化のリスクがあることに多くの注目が集められ,欧米では既に200例以上の症例が集められているが,わが国での確実な例は1985年5月までの25例にすぎない3).質の問題はともかく,量の点ではわが国におけるこの方面の経験は欧米に比して微々たるものにすぎないのである.

 UCの癌化の問題に関連して,前癌病変としてのdysplasiaなる概念が最近注目されている4).欧米で論じられているdysplasiaが病理学的ならびに臨床的にどのような意義を有しているのか,また彼らがどのような考えに基づいてこの概念を提唱しているのかも,一応正しく理解したうえで批判なり追試なりをする時期に来ているように思われる.この機会に欧米におけるUCの癌合併例の特徴をわが国の例と比較しながら概説すると共に,dysplasiaの概念とそれに基づいた欧米の考え方を紹介することにしたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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