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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻9号

1986年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎と大腸癌 主題症例

潰瘍性大腸炎に合併した下行結腸癌の1例

著者: 田中昌宏1 荒井博義1 木村健1 斎藤建2

所属機関: 1自治医科大学消化器内科 2自治医科大学病理

ページ範囲:P.957 - P.960

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要旨 35歳,男性.17年前より粘血便があり,自治医大に入院.高度の貧血,直腸周囲膿瘍,視力障害が認められた.大腸X線所見は全大腸にハウストラの消失,下行結腸上部にポリープ集籏病変,下行S状結腸移行部に管状狭窄などを認めた.横行結腸人工肛門からの大腸内視鏡検査では,ポリープ集簇病変は,Crohn病にみられるような敷石様病変と類似しており,生検では異型細胞が検出され,下行結腸下部の狭窄病変からは異型上皮は証明されなかった.切除標本の検索では,下行結腸は萎縮粘膜に多発びらん,狭窄部には筋層の露出,敷石様病変からは漿膜下層に及ぶ6×2.5cmの癌が認められた.組織学的には高度の脈管浸潤を示す中分化型腺癌と判明し,癌周囲,狭窄部,上行結腸に異型上皮が検出された。本症例は肝転移,腸閉塞を来し,術後2年9か月で死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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