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文献詳細

雑誌文献

胃と腸21巻9号

1986年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎と大腸癌 主題症例

切除標本で“dysplasia”を認めた潰瘍性大腸炎の1例

著者: 小西文雄1 武藤徹一郎1 沢田俊夫1 久保田芳郎1 安達実樹1 阿川千一郎1 森岡恭彦1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.991 - P.994

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要旨 28歳(手術時)女性.全大腸炎型の潰瘍性大腸炎で,慢性持続型であったため発症後12年を経過した時点で手術が施行された.手術は左半結腸切除という潰瘍性大腸炎としては非定型的な手術方法であった.術後縫合不全を来し,再手術にて吻合部を切除し人工肛門を造設した.再手術時に切除された吻合部のわずかな直腸壁に,明らかな“dysplasia”を認めた.術後定期的に内視鏡下生検を施行した.残存直腸の炎症が難治性であり,また,内視鏡下生検による追跡では,持続性に炎症があるために癌を見逃す危険性もあると考えられたので,初回手術時から1年2か月後に残存直腸および結腸を切除した.切除標本にはdysplasiaや癌は認められなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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