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書評「炎症性大腸疾患のスペクトル」
著者: 大柴三郎1
所属機関: 1大阪医科大学
ページ範囲:P.72 - P.72
文献購入ページに移動 日常診療の場で便通異常,特に下痢,糞便中への血液の混入,血便を主訴とする患者は多い.これらの疾患では初診時の病歴,殊に発症時の状況を詳しく聴取することは極めて重要で,ある程度診断の疾患群を絞れる.また,直腸指診による所見,便の性常,潜血反応,細菌学的検索,可能な限り早期のsigmoidscopy,生検,更に注腸X線検査,必要に応じた小腸造影など,一連の診療によって確定診断に至ることが多いが,診断を確定できない場合も決して少なくない.それぞれの疾患に特徴的な典型的病歴および検査成績,殊に内視鏡所見,X線所見,生検組織所見が得られれば診断は容易であるが,それらの所見がそれぞれのパターンを逸脱している場合,診断は難しい.実際,UC,Crohn病,結核などでも数%は鑑別困難症例がある.内視鏡検査で直腸,S状結腸などに発赤,びらん,出血,アフタ様潰瘍,不整形潰瘍などをみる場合,単位疾患と考えるべきか,所見群としておくべきか困感することが多い.この病変が急性の一過性病変か,慢性に経過するのか,また慢性疾患の初期像なのか,決定しかねることがある.疾患にはそれぞれ特異的パターンがあると同時に,時相による多くのspectrumがあることを十分知らなくてはならない.
著者は自序で述べているように,1970年,ロンドン・St. Mark病院へ留学し,病理学者Morsonについて,日本では少ない疾患とされていたIBDの病理を多数経験している.現在,東大第1外科教室の助教授として,また,早期胃癌研究会や「胃と腸」の編集などで活躍している.今や,消化器領域においては,特にIBDの病理,内視鏡の権威として脂の乗り切った壮年医師である.
著者は自序で述べているように,1970年,ロンドン・St. Mark病院へ留学し,病理学者Morsonについて,日本では少ない疾患とされていたIBDの病理を多数経験している.現在,東大第1外科教室の助教授として,また,早期胃癌研究会や「胃と腸」の編集などで活躍している.今や,消化器領域においては,特にIBDの病理,内視鏡の権威として脂の乗り切った壮年医師である.
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